・あなたを失ってはじめて気づきました。
・本当はあの時あなたに言いたかったこと。
・照れくさくて、感謝を言葉にしたことなかった。
あの時届けたかった言葉を今・・・。
母ちゃん。
あなたが作ってくれたお弁当を今も忘れない。
花型のにんじん。
ふわふわの玉子焼き。
まんまるのハンバーグ。
どれも私の好物ばかり。
そんな弁当を食べながら、
いつも仕事で会えない母ちゃんを想ったよ。
思えば父ちゃんが亡くなってから日銭が稼げる花の行商をはじめた母ちゃん。
花鉢を背負いかごに入れて県内はもとより、県外までも売り歩いた。
朝はいつも早く出かけてしまうため、台所には私のお弁当だけが残されていたっけ。
だけど一度だけ弁当を開けるといつもと違う衝撃が走った。
白いご飯に梅干しが一つ。
とっさに母ちゃんが自分の弁当と私のを間違えたのだと気づいた。
私にはいつも好物ばかりこしらえて。
自分はこんなもので済ませて。
その夜「お弁当まちがえてごめんね」と謝る母ちゃんに
私は「ううん」しか言えなかった。
でも本当はちゃんと言えばよかったな。
母ちゃん、無理をさせてごめんね。
でも、ありがとう。